トップメッセージ

日本の多くの建物は階高が低く、吹抜けや大きな開放感を伴う空間は贅沢なものとされ、分譲や賃貸といった実用の場面ではごく限られた存在でした。しかし、住戸が余りはじめた今こそ「建築コストを抑えて数多くの住戸をつくる」発想を問い直すときです。
私たちは「立体的に暮らす」という新しい価値観をもとに、高さと広がりを取り入れた生活空間を提案してきました。容積率をただ使い切るのではなく、“使い続ける価値”に目を向けた空間づくり。建築費はやや上がるかもしれませんが、永く愛され、活かされる空間には、それに見合う意味があります。
建物の寿命は、日本では平均約40年と言われています。一方、欧州では100年を超える国々も多く存在しています。これは構造的な耐久性だけでなく、空間そのものが長く使い続けられる「魅力」を備えているからに他なりません。
私たちが掲げるスマートデュアルの思想は、まさにその価値を体現するための挑戦です。階高4m・5mの建物を現実のものとし、吹抜と複層空間の組み合わせで、心地よく、開放感にあふれた立体的な暮らしを提案してきました。
スマートデュアル・スタイルの生活空間は、住宅にとどまらず、子ども園や宿泊施設など、さまざまな生活空間へと展開し、使う人に“心地よさ”と“自由な暮らし”を届けています。昨今の使命には、スマートフォンが単なる携帯電話から暮らしの中心へと進化したように、私たちは生活空間にも「スマート化の進化」が求められると考えています。
スマートデュアル・ライフは、使い手の視点で考え抜かれた空間設計とテクノロジーの融合により、未来の暮らしの原型となるはずです。
背景には、暮らしの在り方そのものが大きく変化している現実があります。リモートワーク、AIアシスタント、IoT家電、環境配慮型のライフスタイルなど、“暮らしのスマート化”が急速に進むなかで、生活空間そのものにも柔軟さ・多機能性・快適性が求められています。
スマートデュアルは、こうした変化に応える空間です。高天井による縦方向の余白、吹抜による家族間の緩やかなつながり、そして多層構造がもたらす使い方の自由度。従来の平面的な間取りでは実現できなかった「暮らしの可変性」や「自分らしさ」が、この空間にはあります。構造の進化、快適性の向上、そしてAIなどとの連携も視野に入れた挑戦です。
私たちは、このスマートデュアル・ライフを社会に広く届けるため、自ら土地を取得し、プロジェクトを組成・販売してきました。事例がないから、経済性が見えないから、と誰もやろうとしなかった挑戦を、仲間と共に一つずつ積み重ねてきたのです。
この挑戦に共鳴し、支えてくださったすべての方々に心より感謝申し上げます。
20年かけて培った要素技術と思想は、今ようやく「暮らしの進化」として社会に届けられる段階に入っています。
そして、この取り組みの継承と展開の場こそが、「トムソーヤ倶楽部」です。 同じ志を持つ仲間とともに、未来の生活空間を共創するプラットフォームとして、ここから新たなチャレンジを広げていきます。
今、日本では住戸が余り、「建築コストを抑えて数を作る」時代からの転換点にあります。 私たちは、階高4〜5m以上の空間がもたらす豊かさとともに、価値が育ち、長く使い続けられる建物文化を次の社会基盤にしたいと願っています。
「住まい」も、いよいよ進化する時代。スマートデュアル・ライフはその象徴です。
これからもトムソーヤジャパンとトムソーヤ倶楽部は、生活空間をより豊かにする挑戦を続けてまいります。